アイ・ラブ・スウェディッシュデザイン

 

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Vol.44 (2005/02/20)
ストックホルム家具見本市 受賞作品

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毎年2月に開催される北欧最大級のデザインイベント「ストックホルム家具見本市」が今年も2月9日から13日まで開催されました。ジャパンデザインネットで詳しくお知らせしますが、今回は賞を受賞した作品を紹介します。

ファニチャー・オブ・ザ・イヤー2005

インテリア誌「sköna hem」が選ぶファニチャー・オブ・ザ・イヤー2005は、イケアのためにデザインされたキッチンテーブル「ウッダボー」、デザイナーはトーマス・バーンシュトランドです。 ウッダボーは、テーブルの片側に物が挟める作りになっています。端にあるネジをまわして開き、物を固定できます。食事をするだけでなく、日曜大工や物を修理するのにも適したテーブルなのです。ちなみに端には栓抜きもついています。


キッチンテーブル「ウッダボー」

トーマスはイケアから若者をターゲットにしたキッチンテーブルのデザインを依頼されました。彼は新製品の依頼を受けると、ベッドなどに横たわり、リラックスしながらあれこれとアイデアを思い浮かべます。今回は自分が初めてひとり暮らしを始めた時のことを思い出したり、若いひとり暮らしの生活スタイルを思い浮かべてみました。彼らは家で何をするのか、どういうテーブルが彼らの生活にマッチするのか、自分の体験も含めていろいろ考えてみました。

「たいてい彼らは多くの家具を揃えていないから、ひとつの家具がいくつもの役目をすることがある。キッチンテーブルといっても、食事をするためだけに使われるわけではないんだ。その上で書類を広げたり、何かをペイントしたり、時には日曜大工まがいのことをすることもある。それだったらいっそう、そういったことにも対応できるテーブルにするべきだと思ったんだ。」

いつもただカッコイイだけの作品ではなく、生活の問題点を解消する問題解決系デザインが得意なトーマスならではのアイデアです。賞を決定した要因も、そういった思いがけない事柄を融合する「クロスオーバー」的なアイデアと、そこから生まれる機能性が称えられました。

フォーシュネス賞

フォーシュネス基金が選ぶ、優れたの技術や新しいテクニックを持つ家具に与えらるこの賞は、毎年北欧の美しいデザインが選ばれます。今年受賞したのは、ブロー・ステーションで活躍するフレデリック・マットソンがデザインした椅子「ストール69」です。


ストール69

「ストール69」のような1枚板を成型して、スチール製の足を使った椅子は最近のトレンドでもありますが、この椅子の特徴は、接着剤を使わずにスチールの足を木を曲げた部分にをはめ込んいることです。はめ込んだ形を意味する69という数字が、そのままこの椅子の名前となりました。


木とスチールの重なった部分が
美しいラインを描いている。

完璧なデザインにプレスされた木材にスチール製の足をはめこむだけという単純作業で製造されるため、製造時間を大幅に短縮し、コストを下げることができます。美しいデザインですわり心地もよく、尚且つ価格も抑えられる椅子は、安価で製造できる他国の製品にも対抗できるスウェーデンのすばらしい技術と言えるでしょう。それこそが、フォーシュネス賞を受賞した所以でもあります。デザイナーとメーカーが力を併せて誕生したこの技術は、スウェーデンデザインの発展にも大きく貢献してくれることでしょう。

ジャパン・デザイン・ネットでの掲載記事をご覧下さい。

JDN ストックホルム家具見本市2005