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Vol.04 (2003/01/20) |
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本日ご紹介するデザインは、2002年のエクセレントスウェディッシュデザイン賞を受賞した、アンナ・ヴォン・シェーヴェンがデザインしたイス、「Hug」と「Big Hug」です。Hugとは「抱きしめる」という意味ですが、その名の通りこのイスに座ると、まるで誰かにやさしく抱きしめられているような気がしてきます。木材を使用したイスのカーブの部分は、見た目も手ざわりもソフトで、ユニークなデザインを一層と引き立てています。 この作品を初めて見たのは、2002年のストックホルム家具フェアの時でした。ちょうどその時彼女にインタビューをし、このイスについての説明を受けたので、よく覚えています。このイスの名前通り、人を温かく包みこむ「ハグ」の発想からこのデザインが生まれました。彼女はデザインを考えるとき、細長い紙を空間でいろいろな形にして、アイデアを浮かべるそうです。このイスは 、まさに細長い紙を丸めた形が元となっています。彼女は実際に目の前で紙を丸めて見せてくれ、このイスをかたどってれました。 空間のデザインというのは、なかなか図上では発想しにくいということで、紙を折りたたんだり、丸めたりしながら立体的な形を考えていくと、突然今まで見たこともないような形が出来上がったりします。そのような発見がとても面白いと言っていました。 「Hug」と「Big Hug」のどちらのイスも背もたれが優しいカーブになっている同じデザインですが、「Big Hug」は背もたれが布張りになっています。「Hug」はその背もたれの布の部分が繰りぬかれた形になっており、風通しがよくなっています。 このイスを形作っているカーブの部分は木材で作られていますが、このような形が木材で作られているというデザインは、今までにはほとんど見られなかったものだそうです。木材でこのようなカーブを作るというのは容易なことではなく、強くて柔軟な素材(木材)と高い技術が必要となり、デザイナーと製造者との協力が大変重要となります。 そのような高い技術力とチームワークは、美しいデザインとともに高く評価され、エクセレントスウェディッシュデザイン賞を受けることになりました。 そしてこのエレガントなデザインのイスは、今後長いこと愛され続けるクラシックな家具のひとつになるだろうと言われています。 |
アンナ・ヴォン・シェーヴェン アンナ・ヴォン・シェーベンがデザインしたは「Hug」と「Big Hug」は、ヤシネス(GÄRSNÄRS)から発表されています。 アンナはヨーテボリやヘルシンキでデザインを学び、ヤシネスの他にcbiやイケア、プケベリ等で もデザインを発表しています。1997年からフリーランスのデザイナーとしてストックホルムを中心に活躍しています。 アンナはこれまでにもいくつもの賞を受賞しており、1999年にもLatta-lampでエクセレントスウェディッシュデザイン賞を受賞しています。
アンナはもうすぐ始まるストックホルムファーニチャーフェアにも参加するはずですので、彼女の新しいデザインに出会えることを楽しみにしています。また彼女ならではのユニークな空間デザインを披露してくれることでしょうか。 |
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