アイ・ラブ・スウェディッシュデザイン

 

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Vol.24 (2003/11/20)
日常生活にみるよいデザインとは

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3週間ほど日本に帰国していたため、ジャパンデザインネットはお休みさせていただきましたので、本日のメルマガは東京滞在で感じたことをお話しさせていただきます。

1年ぶりの東京でしたが、今回はいつもの帰国とは一味違う滞在になった気がします。アイ・ラブ・スウェディッシュデザインのメルマガを始めて次回で1周年です。その間、今まであまり気に留めていなかったデザインについて気にかけるようになりました。

今回の滞在も東京のデザイン事情という観点からいろいろ気にかけてみました。そうすると、今まで気が付かなかったことが見えてきました。デザインという言葉の響きは何かトレンディでクールなものという印象がありますが、実はもっと身近なものなのです。よいデザインとは私たちの生活をより高めてくれるものです。分かりやすい例では、ちょっと気の利いた日用雑貨など。お気に入りのティーカップで飲むお茶の味は格別で、イヤなことも忘れさせてくれます。ちょっとカワイイキッチン雑貨は、単調になりがちなお料理を楽しくしてくれます。

そして、デザインはもっと生活に密着しているものです。例えば日々の移動のために利用するバスや電車、駅周辺などの公共施設のデザイン。歩きやすくて分かりやすい駅周辺はよいデザインといえます。逆に階段が多く、分かりにくい駅周辺は悪いデザインなのです。毎回日本に帰るたびに思うのは、家への最寄り駅の不便さです。重いスーツケースを持っているとよく分かります。せっかく空港バスで成田から最寄り駅まで直接来れるのに、そのバス停からタクシー乗り場へ直接いけないのです。階段を上がり、しばらく歩き、また下りるという大変な行程が待っています。目の前にタクシー乗り場があるのですが、直接道路を渡れないので、重いスーツケースを引きずりながら歩道橋を登り、10分以上かけてタクシー乗り場まで行かなければなりません。

そういう観点から見ると、ストックホルムは空港から家まで実にスムーズにたどり着くことができます。空港バスやエクスプレスで中央駅まで行きますが、到着場所の目の前からタクシーが出ています。空港の駐車場も実に楽にたどり着けます。階段には必ず坂がついているし、駅にはエレベータの設置が義務付けられています。歩道は広く取られているし、自転車専用道路もあります。東京の道路は歩道と言っても気持ち程度に白線がかかれているだけで、車がすれ違うと白線内の歩道にまで入ってくるのでとても安心して歩くことができません。ゴミ出しの日には山と積まれたゴミ袋が丸見えになっているし、東京には悪いデザインがたくさんあります。


六本木ヒルズ

今回の帰国で、六本木ヒルズや青山のプラダビル、東京駅の丸ビルなどの最新スポットに出かけ、東京の建築デザインの斬新さに驚きました。一方、和菓子の器具がほしくてカッパ橋にも行きました。同じ東京でもなんと雰囲気の違うことでしょう。東京にはいろいろな顔があります。ストックホルムではこのような気分に浸ることはありません。エキサイティングな場所はほとんどなく、アクティブな雰囲気もあまりありません。やはり東京ってスゴイところです。

スウェーデンの最新情報さえも東京の方が早く届いたりします。そういう意味では東京はとっても魅力ある街です。新しいものが次々と生まれる街。すばらしいことですが、使い捨てが当たり前になってしまうのはちょっと残念な気もします。新しいものがちっとも生まれないスウェーデンはつまらないですが、今あるものを長く使うという気持ちは大切だと思います。

私的な意見で申し訳ありませんが、経済停滞の続く日本が目指すべきなのは、経済の発展ではなく社会レベルの向上ではないでしょうか。経済は急成長してバブルが弾けてこれ以上の成長は難しくなっていますが、人々の生活レベルはまだまだ問題も多いのですから、そのレベルの向上を目指すことにより、経済もおのずと安定してくるのではないでしょうか。そして人々の暮らしのレベルアップに必要なのがよいデザインなのです。日本の公共施設によいデザインが採用されることを心待ちにしています。