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Vol.60 (2005/11/05)
東京から「ゴミ箱」が消えた?

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久しぶりに日本に暮らしてみて気が付いた「ゴミ箱」についてちょっとお話しさせて下さい。

半年ぶりの日本ですが、街中のゴミ箱がますます少なくなったことに驚きを感じています。爆弾などの異質物を隠せないためと聞きますが、それにしても街中からゴミ箱が消えることに不自然さを感じてなりません。

ゴミは出て当たり前のものですが、ちょっとしたゴミですら、どこにも捨てることができず、家まで持ち帰ることになります。しかし、これだけゴミ箱がないにも関わらず、街中がゴミだらけにならないことにも驚きです。それだけモラルのある人が多いということでしょうか。もしこれがスウェーデンだったら、1日で街中がゴミだらけになりそうです。

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今私が日本で暮らしている地域では、最近ゴミ袋が有料になり、ゴミ処理にも工夫が必要となりました。外出時に発生したゴミも持ち帰らなくてはならず、量が多いとゴミ袋代もかかってしまうので、なるべくゴミを少なくしなければなりません。

ゴミを減らそうと努力することはいいことですが、なんだかそれが強制されているようで、あまりいい心地ではありません。中には、ゴミ捨てがそれほど厳しくない地域までゴミを持って行って捨てる人もいると聞きます。それでは何のための規制でしょうか。規制を厳しくすることにいいことはないように思います。


ストックホルムの新しい住宅地の分別ゴミ箱
右の緑のふたの方はコンポスト用

ストックホルムには、街中の至るところにゴミ箱があります。そしてゴミ箱がいっぱいになる前に、きっちりと処理されています。もちろんそれにはコミューン(市)がきちんと面倒を見てくれるからです。

それでも夏には、公園で盛り上がった人々がゴミをちらかしたままにしています。しかし翌日にはそのゴミもコミューンから派遣された掃除の人たちがきっちりと片付けてくれます。有難いようですが、まるでいたちごっこ。ゴミはやっぱり各自でゴミ箱に入れるべきものです。でももしそのゴミ箱がなかったら・・・・・。

家まで持ち帰ろうなんて考える前に、なぜゴミ箱を撤去するのかを抗議する人たちの方が多そうです。ゴミ箱を撤去するというシステムは、スウェーデンでは受け入れられそうにありません。

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ちなみにストックホルムでは、大きな分別ゴミ箱が街の至るところにあります。新聞紙、厚紙、缶、透明ガラス、色付きガラス、プラスチックの6つのゴミ箱があり、いつでも好きな時に捨てることができます。たいてい集合住宅の前にありますので、新聞紙などがたまると捨てに行きます。

最近の新しい住宅地には、食べ物の残りだけを捨てられる専用のゴミ箱もあります。通常燃えるゴミとして処理されてしまう食べ物の残りのみを集めることにより、コンポストとして土に返して再利用するのです。このゴミ箱もいつでも好きな時に捨てられるシステムになっているので、強制というよりは便利だし環境にもいいから、という理由で協力している人が多いと思います。

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ゴミの処理は大切な問題ですが、強制されるというのはなんだかいい気持ちがしません。誰もが利用しやすいシステムであれば、自分から進んで環境に優しいゴミ処理をするように積極的に協力するようになるのではないでしょうか。

ゴミ箱を撤去してもゴミだらけにならないのは、日本ならではのすばらしい一面だと思います。一般の方々のモラルは、それこそ世界一かもしれません。