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第23回 スウェーデン人気質
2004.3.9
先日あるミーティングで、スウェーデン人の一般的基準や価値観について話し合いました。もちろん参加者のほとんどがスウェーデン人で
すから、自分たちについて客観的に意見を出し合ったわけです。まず一般論として、スウェーデン人は平等主義、正直、知らない人には声をかけない、人との距離間を大切にする、列に並ぶ文化などが挙が
りました。価値観としては、自由主義、自分の好きなように生きる、家族主義よりは個人主義が一般的、階級がほとんどないなどです。スウェーデンの社会については、安心して暮らせる社会との意見が多
くでました。
平等主義というのはつくづく感じることです。特にかなり意識して男女差別のない社会にするように仕組まれているように思います。学校等の出席簿は男女別ではなく男女ゴチャマゼでアルファベット順になってい
ますし、組織のメンバー報告をする時も男女比率が問われます。平等主義というのは、もちろん男女間だけではなく、国籍や年齢、ハンディキャップなどにも当てはまります。そして動物にまでも当てはまるの
です。スウェーデンで野良犬を見ることはまずありません。虐待を受けている犬は社会が引き取り、里親を探してくれることさえあります。命あるものはみな平等に尊いという考えが根底にあるのだと思
います。孤児院という施設もなく、親のいない子供たちは里親に預けられるのが一般的です。そしてその里親は国から手厚い援助金が支払われるそうです。こんな社会ですから、レデ
ィーファーストという考えもほとんどありません。レディーファーストとは、女性が弱いと考えるから発生するアイデアで、スウェーデンで
女性が弱いという考えはまずありません。
知らない人には声とかけないという文化は、相手を尊重してのことだそうです。スウェーデン人はシャイな人が多いので、知らない人に自分から進んで
声をかけることをほとんどしませんが、それは相手に対して一歩引き下がっていることも理由のひとつです。ですから、人との距離間も大切にします。通勤ラッシュといっても、身動きも取れないほど他人との距離間がなくなることはまず
ありません。
列に並ぶ文化というのは、この国に来ると頷けます。どこにでも順番待ちのチケットがあり、それを取ってじっくりと待つのです。八百屋や肉屋、パン屋にもあります。チケットがなくても、いつのまにか列が作られていて、割り込むということはまず
ありません。我先に並ぶということはたまにありますが、列になってしまったら自分の順番が来るまでおとなしく待っています。待たされることにイラつく人も少ないようです。
階級がほとんどないというのは、実に暮らしやすい文化です。会社でも縦社会というよりは横社会なので、社長や部長が偉ぶっていませんし、平社員がヘイこらもしません。
お互いファーストネームで呼び合うのが普通です。ゴマをするなんていう文化はまずないのだと思います。それから実にラフな社会でもあります。内勤の人で、毎日ネクタイをしていく人
はほとんどいません。先日ある会社に視察に行った時、対応してくれたマネージャークラスの人はTシャツにジーンズ姿でした。
最近読んだ新聞に、クオリティー・オヴ・ライフの高い国の上位にスウェーデ
ンが挙がっていました。GNPはそこそこですが、クオリティー・オヴ・ライフが高いということは、安心して暮らせる社会ということです。スウェーデンの寒
くて暗いという気候を除けば、この国が世界でいちばん安心して暮らせる国だということを、国民はよく知っています。移民である私たちも、日本という祖国を恋しくは思いながらも、この国で暮らせることを幸せに思ってい
ます。そして日本という帰りたい時にいつでも帰れる国が祖国であることも誇りに思っています。
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