ニルスの摩訶不思議な旅

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第3回 ノーベル賞のお話し

2001.12.11

12月に入り、午後3時前には日没してしまうストックホルムですが、街角にそれとなく飾ってあるクリスマスイルミネーションの灯かりが心を温めてくれます。あまり派手なものはなく、窓辺にはキャンドル、街角には小さなライトの飾られたクリスマスツリーがある程度です。ところどころで開かれているクリスマスマーケットでは、暖かいワイン(グロッグ)など、クリスマスにかかせない飲み物、食べ物、オーナメントが並んでいます。

さて、スウェーデンで世界的に有名なものの1つにノーベル賞があります。授賞式は毎年12月10日、ノーベルが亡くなった日に、ストックホルムとオスロで行われます。今年はノーベル賞100周年記念の年でもあり、今までの受賞者を一同にストックホルムに招待して、ところどころで講演会が開かれました。

今年のノーベル賞受賞者に化学賞の野依良治・名古屋大教授がいらっしゃいます。去年に引き続き、日本人の受賞は私たち日本人にとっても、とても名誉なことです。そこで今回はノーベル賞についてお話ししたいと思います。

ノーベル賞は、ダイナマイトを発明したスウェーデンの科学者、アルフレッド・ノーベル (Alfred Nobel 1833〜1896)に因んだものです。彼は偉大な財産を残したのですが、遺産を相続する家族がいなかったため、自分の財産を、今後スウェーデン人に限らず、世の中で最も価値のある業績に対して賞を与えてほしいという遺書を残し、ノーベル賞の母体となるノーベル財団が1900年6月29日に設立されました。ノーベルの遺産は投資され、そこから得られる利子が賞金となります。

ノーベルは、物理学、化学、医学・生理学の分野ですぐれた研究をした人、文学の分野ですぐれた作品を生み出した人、国と国との間の友好と軍隊の廃止、平和会議の開催につくした人を対象にしたいと希望したので、1901年、物理学賞、化学賞、医学・生理学賞、文学賞、平和賞の6つができ、これに 69年から経済学賞が加わりました。物理学賞及び化学賞はスウェーデン科学アカデミーが、医学、生理学賞はストックホルムのカロリンスカ研究所が、文学賞はスウェーデンにおける某アカデミーが、平和功労に対する賞はノルウェー国会が任ずる5名の委員会が審査して、賞を授与しています。

毎年12月10日にストックホルムのコンサートホールで授賞式、ストックホルム市庁舎で大晩餐会と舞踏会が行われます。ノーベルが生存の頃はノルウェーとスウェーデンが1つの国だったことから、今でも平和賞はノルウェーのオスロで授賞式と晩餐会が行われます。

2001年はノーベル賞が最初に設けられてから100周年にあたります。7分野で納められたそれぞれの業績を称え、これまでに700名を超える方々が受賞されてきました。100周年を記念して、ノーベル財団はノーベル賞1世紀の歴史を展示しています。ノーベル賞100周年記念展示は、ストックホルム旧市街(ガムラスタン)にあるストックホルム証券取引所において、2004年8月31日まで開催されています。

ちなみに、ストックホルム市庁舎のレストランでは、各年のノーベルディナーを味わうことができます。ノーベル賞ディナー専用の食器を使い、食前酒からデザートまで、すべてが晩餐会と同じメニューなので、まるで自分が受賞したような気分を味わうことができます。