ニルスの摩訶不思議な旅

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第20回 私のスウェーデン語取得法

2003.11.4

在スウェーデン歴5年経った今でも、私はスウェーデン語を勉強中です。まだまだ中級レベル。言葉の壁は厚いのです。言葉ってあわてて勉強してもそうそう身につくものではないことは身を持って体験してい ます。時間をかけてゆっくりじっくりやるしかないのです。

今通っているコースは、高校レベルのコースです。この後大学への入学申し込みができるようになります。最終的にはプロの通訳レベルを目指しているので(夢)、 いずれ大学で勉強したいと思っています。

外国人用のコースなので生徒たちはもちろん外国人ばかりですが、なぜか私のクラスはスペイン語圏と東ヨーロッパ出身者たちが多いのです。つまりほとんどがアルファベット圏の人たちで す。同じ外国人と言っても、アジアとヨーロッパの生徒では雲泥の差があります。ヨーロッパの人たちにとってスウェーデン語は、ある意味で関連語でもあります。先日授業で世界の言葉の関連性を習い、スウェーデン語に近い言語から枝葉の広がった組織図を見 ましたが、その中に日本語はもちろんありません。全く違う言語として、日本語や韓国語、中国語が関連語とありました。

英語などのアルファベット圏の語学を学んだことのある方ならお分かりだと思いますが、構造の全く異なる日本語でその言語を学んでいるうちはまず上達しません。その言語の回路を脳に作って初めて少しずつ上達してくる のです。つまり、その言語を学ぶのに日本語が介入しないことでネックとなります。しかしアルファベット圏の人たちは、自分たちの言葉で考えながらスウェーデン語を難なく学ぶことができ ます。これは本当に大きなギャップです。私は英語の回路がちょっとあるので、英語を介入して学ぶことは可能ですが、英語は母国語ではないので限界があります。それにこの方法だと自分の英語の実力以上のスウェーデン語力は身につかない のです。 また、日本語とスウェーデン語のいい辞書残念ながら見当たりません。まぁ日本語でスウェーデン語を学ぶこと自体に無理なので、それはそれであまり問題はないのですが。

私が初めて通ったスウェーデン語初心者のクラスは、全てスウェーデン語のみの授業でした。数字ひとつ分からない状態でどうなることかと思いましたが、絵やジェスチャーを交えた講義で 想像力を働かせながら何とか理解していきました。そのうちボキャブラリーが増えて、少しずつ理解できる文が増えてきます。その積み重ねが語学学習なのですが、ボキャブラリーはコツコツ増やしていくしか ありません。文法は英語に似ている部分がありますので、英語の文法と照らし合わせればいいから少しは楽ですが、ボキャブラリーはそうはいきません。ボキャブラリー早覚えの方法はないと思 います。私が取っている方法は、初めて見る単語に出会った場合、すぐに辞書は引かないことです。想像を働かせて意味を推測します。そしてまた次に同じ単語に出会うと、意味は分からない けれど、前に見たことがあることを思い出します。そして3回目にその単語に出会って、これは前から気になっていた単語だと思って初めて辞書を引きます。そこで推測と正しいとその単語はもう忘れ ません。推測がはずれていても、ずっ と気になっていた単語なので結局は忘れません。例えばテストで意味の分からない単語に出会い、一生懸命に想像を膨らまし、テストが終わった後で意味を調べてあぁそういう意味だったのか、と思った単語はその後忘れないのに近い方法で す。

もうひとつ私が通っているクラスは、スピーキングのコースです。このコースはアジア系の生徒が多いです。やはりアジア系にとってスウェーデン語の発音は難しいのです。母音が9つもあり、私は未だにアルファベット29文字をきちんと発音でき ません。スウェーデン語はリズムがあり、歌っているみたいに聞こえますが、 このリズムは身体で覚えるしかありません。私の場合は日本人にありがちなのですが、ライティングの方がスピーキングよりも得意です。これは他の国の人たちと違うようです。しゃべれても書けない生徒がかなり多いの です。ペラペラしゃべっていても、スペルが間違えだらけだったり、文法がひどい人もけっこういるのです。本来はスピーキングはライティングよりもずっと簡単なのです。小さな子供はあれだけしゃべれても読んだり書いたりできないのを見ればご理解いただけると思 います。ライティングができるのであれば、正しい言語の構造が分かっているわけですから、練習さえ積めばスピーキングはそれほど大変なことではないのです。

そして、スウェーデン人らしい発音をするためには、人格から変わるべきなのだそうです。日本語をしゃべる自分とスウェーデン語をしゃべる自分は違うの です。二重人格になれて初めてネイティブに近い発音ができるようになるのです。

クラスの仲間に比べて自分のスウェーデン語がなかなか上達しないのは、私が怠け者だからではなく日本語圏出身のせいなので、まわりを気にせずマイペースでゆっくりじっくりやっていくしかなさそう です。語学取得に近道はありません。そして終わりもありません。言葉とは目的ではなく手段であるのですから。