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第22回 世界遺産「森の墓地」に骨をうずめる?
2004.1.27
海外で暮らして課題になるのは、どこに骨をうずめるかということです。まだまだ自分が一生この地で暮らす覚悟などはできていませんが、先日ある
日本人の知り合いのお葬式に参列して考えてしまいました。私はいったいどこで死ぬのだろうかと。日本人だからやっぱり日本に帰りたい気もしますが、この地も気に入ってい
ます。そして今回お葬式のあった場所は、世界遺産として登録されている森の墓地、Skogskyrkogårdenです。自然に囲まれたすばらしい設計と最高の景色の墓地
なのです。こんな墓地に眠るのも悪くないなと思います。
私がスウェーデンを気に入っている大きな理由のひとつは、自然と共存した生活にあります。普段の生活もそうですが、死んだ後に入る森の墓地を見ても、本当に土に返るという気持ちにさせてくれ
ます。こんな墓地だったらあの世にいっても極楽に暮らせそうです。雪に覆われた景色もすばらしいのですが、暖かい陽気の春や夏にはお弁当を持ってピクニックに訪れたいほど
なのです。日本にピクニック
したいと思えるような墓地があるのでしょうか。私の知っている限りでは、日本のお墓は墓石と人工的な石で固められた中に骨壷を納め、切花が供えられ、土と触れ合うことは少ないように思
います。スウェーデンの墓地は土の上に自然な感
じの墓石があり、切花ではなくまわりに花が植えられています。人や動物や植物が実に自然に共存しているのです。
森の墓地についてもう少し説明を加えてみましょう。Skogskyrkogårdenとはスウェーデン語でその名の通り森の墓地という意味で、1994年にユネスコ世界遺産として登録され
ました。ストックホルム中心地から地下鉄で15分ほどの場所にあります。1919年から1940年の間に建築家のグンネル・アスプルンドとシーグルド・レヴェレンツによって設計され
ました。彼らは壮大な松林の丘の上に、自然と調和した美しいラ
ンドスケープと3つのチャペルを作り出しました。ちょうど第2次世界大戦真っ最中に建築され、スウェーデンの近代的な建築デザインとして注目されました。当時
人々は美しくて機能的で永眠の場としてもふさわしい墓地を求めていました。そしてストックホルムの新しい墓地のための国際的コンペで勝ったのがグンネル・
アスプルンドとシーグルド・レヴェレンツだったのです。彼らが特にこだわったのはランドスケープでした。そしてチャペル内の小さなランプから壮大なランドスケープまで、全てを自分たちでデザインし
ました。この自然とみごとに調和した墓地は、世界中から見学に訪れる人が後を絶たないほど有名になりました。そして、
共同墓地ミンネスルンドが初めてストックホルムにできたのもこの地なのです。
4月にストックホルム見本市会場で北欧ガーデニングフェアがありますが、今年から新しい企画として墓地のガーデニングの展示があり、けっこう気合が入っているそうです。人々が最後に眠る場所にこれだけこだわってくれるスウェーデン、
ここに骨をうずめるのも悪くないかもしれません。
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