ニルスの摩訶不思議な旅

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第18回 スウェーデンアンティーク雑貨、グスタヴスベリ

2003.8.12

Gustavsbergはグスタヴスバーグとも読めますが、スウェーデン語読みではグスタヴスベリといいます。ストックホルム群島内のヴァルムド(Varmdö)地区にGustavsbergという地名があり、そこが発祥地 です。歴史をたどると15世紀にまでさかのぼります。磁器製造業をスタートしたのは1825年で、現在のバスルームウェアの製造を始めたのが1940年台です。2000年にはドイツのVillery&Boch社の傘下になり現在に至ってい ます。グスタヴスベリ社は現在バスルームウェア製造業となっていますが、1996年に「HPF i Gustavsberg AB」としていくつかの人気シリーズの再現製造を行っています。HPFとは家庭用磁器製造工場の意味です。

グスタヴスベリのデザイナー、Stig Lindberg(スウェーデン語読みではスティグ・リンドベリ)のテーブルウェアシリーズが特に日本などの海外では高い人気を誇ってい ます。ミッドセンチュリーにデザインされたのに、半世紀経った今でも新鮮に見えるその洗練されたデザインは人気上昇中です。丸っぽい葉っぱに黒い葉脈がクッキリと描かれたシリーズBERSÅや青いプラムと緑の葉っぱとのコントラストがきれいなPRUNUSは有名な彼の代表作でもあり、シリーズをコレクションしている人も多い ことでしょう。スティグ・リンドベリは本名をFrederick Stigurd Lindbergといい、スウェーデン最高レベルの工芸学校であるコンストファックと王立工科大学で学んでい ます。1937年から1940年にグスタヴスベリにてウィルヘルム・コーゲの元でセラミック製造に関わりました。1941年に彼の初めてのセラミックが世間に公開され、第2次世界大戦後のスカンジナビアモダニズムとして世間に広く認められるようにな りました。1953年に発表された美しいフ ォルムの花瓶プンゴを含む彼のセラミックは、スカンジナビアデザインの典型として親しまれるようになりました。

テーブルウェアシリーズの他、グスタヴスベリ工房でデザイナー自身の手描きによる作品もあります。スティグ・リンドベリは花や植物が好きだったようで、手描き作品の多くは自然をモチーフにしてい ます。また、ひとりの人間がものを造る場合、その作品に対する責任上から作品にはサインを入れるべきであるという考えから、彼は自分の作品には必ず裏面にサインを記してい ます。 手とGの文字が入っているのが工房で作られた作品という意味で、青い文字で書かれているのがスティグ・リンドベリの作品です。ちなみに赤い文字はウィルヘルム・コーゲの作品とのこと です。

ストックホルム市内からバスで20分ほどでグスタヴスベリ地区にたどり着きます。群島内に位置するグスタヴスベリは湖に囲まれた美しい街でもあります。目印のイカリがグスタヴスベリのトレードマーク です。工場には大きくこのマークが描かれています。古いグスタヴスベリ工房内には博物館、工場直送ショップ、アンティクショップ、カフェなどがあります。博物館には、18世紀からのグスタヴスベリ社で製造されたセラミックが惜しげもなく並び、あこがれのアイテムも間近で鑑賞でき ます。動物や子供の作品で人気のリサ・ラーション(Lisa Larsson)の工房もあり、作品ができるまでを楽しめます。また、絵付け体験をさせてくれる設備もあり、自分自身がスティグ・リンドベリやリサ・ラーションになった気分で思い思いの絵を描いてみるのも面白そう です。博物館のショップではSPISA-RIBBの再現版RIBBやALLMOGEの再現版も販売されています。工場直送ショップでは現在製造されているアラビアやローストランドの作品がお買い得で す。アンティクショップでは工房の手描き作品や人気テーブルウェアシリーズが揃っています。ストックホルムに来た時は、グスタヴスベリまでちょっと足を伸ばすのも いいですね。特にアンティーク雑貨ファンの方はお勧めです。