ニルスの摩訶不思議な旅

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第14回 スカンジナビア最大のデザインイベント
「ストックホルム家具見本市」

2003.2.25

ストックホルムの2月初旬は、まれにみる大雪でした。月末に近づいた今でも、 その時の雪がたっぷりと残っています。しかし最近は日中に太陽が照り、それ がポカポカしてまるで春が訪れたかのようなのです。ストックホルムは3月は まだまだ冬なので、2月でのこの太陽は不思議な気分です。たくさんの人々が、 雪に囲まれた日光浴をしているのです。

さて、今回は2月初旬に開かれた、スカンジナビアデザインの大イベント、ストックホルム家具見本市についてお届けします。

スカンジナビアデザインファンお待ちかねのストックホルム家具見本市が、今年もストックホルムメッサにて開催されました。スカンジナビアの家具と照明 の大規模な展示会であり、年々規模も注目度が高まっています。ここでは新作 デザインの家具、テキスタイル、照明、インテリア、キッチンウェア、インテリア小物等の展示をご覧になることができます。また、スカンジナビア以外にもヨーロッパやアジアからの出展もあり、よりインターナショナルなイベント となっています。展示会場は大きく分けて4つのブースに分かれており、それぞれにテーマがあります。Victoria Hallではグリーンハウスの展示、Hall A では照明の展示、Hall Bではエリア・モダン、ホーム2000、家具、テキスタイルの展示、Hall Cでは家具、インテリアデザインと照明の展示、そして正面入 り口近くではメイド・イン・スウェーデンの展示となっています。また、このイベントではインテリアデザイン賞などのさまざまな賞も発表されます。その ような賞と展示会場をご案内しましょう。

◆グリーンハウス、新人デザイナーの展示会場◆
今回のファーニチャーフェアでは、まだ世に知られていない新人デザイナーの発掘に力を入れています。特に注目を浴びた展示のひとつは、デザインスクールや新人のフリーランスデザイナーたちの展示場であるこのグリーンハウスです。スウェーデンだけでなくインターナショナルなデザイナーも展示しており、 韓国や日本からの出展もありました。展示品はまだ製品化されていないもので、 ここで企業から注目されれば、今後の製品化やこれからの大きなステップアップにつながるのです。

◆メイド・イン・スウェーデン?!◆
正面入り口近くには、これはメイドインスウェーデン?といったタイトルの展示場があり、スウェーデンのデザイナーとドイツ企業が共同して制作した作品や、スウェーデン企業がイタリアや日本のデザイナーと共に制作した作品などが展示されています。デザインのスタイルやテイストに国境はなく、ここに展示されているグローバルな作品たちはインターナショナルスウェーデン製なのです。展示場のデザインは今注目されている若手のデザイントリオCKR (Claesson, Koivisto, Rune)です。

◆エリア・モダン◆
スウェーデンデザインの最新作品の展示です。今年はLinge Rose、R..O.O.M、Soderberg、De Nord、Unfocus等のデザイン企業も参加しています。エリアモダンに展示している企業は、「デザイン人気」は今後もますます高まることを信じています。展示されている作品を見ると、デザインは人々に夢と希望を与え、人生そのものを楽しくしてくれる気がしてきます。

◆照明、家具、ホームデザイン、テキスタイル、インテリアデザイン◆
いちばん広い会場は、このHall ABC展示場です。ここでは世界的に有名なインテリアデザインショップの最新作品が、惜しげもなく並んでいます。もちろん実際に座ってみたり、触ってみたりして、有名デザイナーたちの作品を肌で感 じることができるのです。どれもシンプルでモダンなデザインばかりで、スカ ンジナビアデザインのセンスの良さを目の当たりにすることができます。一見似ているデザインも多いように見えますが、皆それぞれ個性的で、ところどころにデザイナーたちのこだわりが表われています。派手なカラーを使っていても、それがちっとも奇抜にならないのは、やはりモダンデザインのせいでしょうか。今回、特に感じたのは、布やフェルトを使った作品が多く見られたこと です。木のぬくもりと生地の温かさが調和したデザインは、心までも温めてく れます。

◆ベスト・インテリアデザイン2002◆
スカンジナビアのデザイン誌「Forum」では、毎年ファーニチャーフェア の初日にベスト・インテリアデザイン賞を発表します。今年の金賞は、今スウェーデン最大の注目デザイナー、ヨナス・ボーリンがデザインした、ストック ホルム・アーランダ空港のVIPラウンジです。銀賞は、ベテランデザイナー、 オーケ・アクセルソンがデザインしたイギリスのニューキャッスル郊外にあるバルト美術館、そしてフローネ・ヘデルム・マルムストローム建築事務所がデザインした、ストックホルムのモダンアート美術館です。銅賞は、スウェーデ ンを代表する建築デザイナー、トーマス・エリクソンによるストックホルム、 アーランダ空港のSASフライトアカデミーのレストラン・バーです。

◆Forsnäs賞◆
ファニチャーフェアではいろいろな賞が発表されますが、Forsnas賞も注目の賞のひとつです。今年は日本人デザイナー、高橋ゆりこさんのTwister 受賞しました。ユニークで美しいデザイン、その上機能的で温かみと遊び心のあるすばらしいデザインのスツールです。

◆ファーニチャー・オブ・ザ・イヤー2003◆
インテリアデザイン誌「sköna hem」が選ぶ今年のベスト家具は、ペール・スンズテッドの揺れるスツール「Ving」です。かわいくて軽く て、キッチンや書斎などにひとつあると重宝しそうです。このスツールは、 実は2002年のエクセレント・スウェディッシュデザイン賞も受賞しています。子供の頃に遊んだ木馬や、おばあちゃまのロッキングチェアをイメージするこ のスツールは、人々の心をノスタルジックにさせます。

年々規模の大きくなるファニチャーフェアは会場がとても広く、全ての展示を見るためには1日ではとても足りません。私は今回は、初日にデザイナーへのインタビューを兼ねた取材のヘルプと、最終日の一般開放の日とで2日間かけてまわりましたが、それでも見落とした作品がいくつかありました。しかし、最新のスカンジナビアイデザインの作品を実際この目で見て肌で感じて、ますますその魅力に取り付かれてしまいました。寒くて暗いスウェーデンに暮らし、特に2月は雪も多く気温も低く気持ちも暗くなりがちになるのですが、この最大のイベントのおかげで身も心もスッカリ元気になりました。あのすばらしいデザインの作品がどれかひとつでも家にあるとそれこそ言うことはないのですが・・・今のところはIKEAの代行品で間に合わせています。このレポートを機会に、皆さまもスウェーデン・デザインをより気に入っていただけたら幸いに思っております。